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明日世界はどうなっているか、わからない。でも私は今日林檎の木を植える。

タイトルの言葉は拙ブログにいただいた佐平次さんのコメントから引用しました。

杉は国内のいたるところに植林されています。(北海道を除く)樹木で、日本の貴重な森林資源です。花粉のいたずらから、多分、最も嫌われている木のNO1にランクされる木でもあります。「真っ直ぐ」という言葉が杉の語源だということからも分かるように、杉の木は天に向かって真っ直ぐ伸びています。建築材料に使うのだから真っ直ぐでなければならないのです。盆栽でも杉は、松や真拍のように針金を使ってくにゃくにゃと幹を曲げる、というようなこしゃくな仕立て方はしません。あくまでも真っ直ぐ、直幹仕立てが基本です。実は、この「真っ直ぐ」は人の手がかかっている、というのが今日の話です。

私が小学校高学年の頃だから、今から45年位前の話です。杉は植林されてからしばらくの期間、冬期間の雪の重みで倒伏するために、春になると「杉起こし」という作業をします。毎年春になるとこの杉起こし作業に私は祖父(菜っ葉さえあればいいと言っていたあの祖父)に日曜日のたびにかりだされました。
しかし、これが、いやでいやでしょうがなかったのです。遊びたい盛りの年頃で、じいちゃんと2人で山に篭るというのはあまり魅力的な話ではありません。「一人仕事では大変だから、umeも手伝ってほしい」といわれると、不承不承いかにもいやいやと言った風情で「うん、わかったよー」と答えます。今なら車で簡単にに行くことができますが、当時、70過ぎの老人と小学生にはきつい急登の山道を腰に弁当をぶら下げて二人で歩きます。
その時もうすでに腰の曲がっていたじいちゃんは、歩くことが苦手で歩みが遅く、アベベ気取りでぐんぐん歩く私との距離は離れる一方です。あっという間にぶっち切りの独走態勢になります。現地へ早く着いて「寝転がってじいちゃんの到着を待つ」と言うのが私の作戦です。ところが、無茶なハイペースで歩いた私もいつの間にかスタミナ切れを起こし、ペースダウンします。そのうちあれほど開いていたじいちゃんとの距離はあっという間に詰まり、ついには追い抜かれます。じいちゃんの背中を見ながら私は「なんだこのじいちゃん、腰が曲がってヨタヨタしているのにどうしてオレより速いんだ!」と思いつつ、あとは、もうじいちゃんについていくのがやっとと言う状態です。現地へ着くと休む間もなくすぐに作業の開始です。あっちを引っ張れだのこっちを引っ張れだのの声に従って、もっぱら引っ張り役が私の役割で、じいちゃんは縄を器用に男結びに結わえます。「早く終わらねーかな」といつまでも往生際の悪い私は、だらだら、いやいやという態度で作業を手伝います。じいちゃんも私のその態度は十分に分かっていたはずですが、そのことはなにも指摘せず、休憩のたびに「悪いなume、せっかくの日曜日なのに」と言います。それでも、「そう思ったらこんな仕事俺に頼むなよ」と心の中で毒づくume少年にはかわいげがありません。
3,4日続いた作業も今日で終了という日に、じいちゃんはは私に「なあume、この木がでっかくなったら、お前が家を建てる時に使ってくれ。梁に使えるぞ。もうそん時には俺は死んでいるけどな」と、作業終了の満足感にひたった顔で言います。この杉の木はじいちゃんには何の役にも立ちません。家を建てると言っても、当時の私に実感が湧くはずもなく、「うん」とは答えたものの、気のない返事でした。じいちゃんにとってみれば孫かわいさの作業であったにもかかわらず、当の孫(つまり私)に不愉快な態度をされていたのですから、浮かばれません。今となれば「じいちゃん、悪かったなー」とも言えますが今さらだ、もう遅い。

その杉の木は今、立派に生長しました。家を建てるには十分なほどに大きくなりました。ところが、先年私が家を建てるときこの杉の木は使いませんでした。木を切り出して製材する費用のほうが、外材を購入するより高くつくと言う理由からでした。ますますじいちゃんは浮かばれません。少しくらい高上がりであってもあの杉の木を切り出すべきだったと、今は後悔しています。大きくなったあの杉の木は杉起こしや間伐の必要もなくなり、日々わずかづつひっそりと成長ています。いずれ、屋久島の杉のような大木になるのでしょうか。朽ちるまで材木としての役割はまっとうせず、光合成でCO2を吸収しながらわれわれに酸素を供給し続けるだけなのでしょうか?
じいちゃんになんといえばいいのでしょうか。「じいちゃん、あの杉の木、それなりに役に立っているよ」とでも言っておきましょうか。


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COMMENTS

そのまま童話になる

ちょっと最後が(外材の方が安いというのが)厳しいけれど、それも現実、いいお話ありがとうございました。

まさか

「明日世界はどうなっているか、わからない。でもじいちゃんは杉の木を植えた。」と、言うことでしょう。まさか時代がこんな風に変わるとは、じいちゃんも読めなかった。

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